「ない仕事」の作り方/みうらじゅん

 「マイブーム」や「ゆるキャラ」の仕掛人として、また、小説やイラストなど幅広い分野で活躍するみうらじゅんが書いた仕事術の本である。書店で見かけて、みうらじゅんらしくない珍しいテーマだな、と思っていたのだが、6月放送のタモリ倶楽部「マイブームの生みの親 みうらじゅんのナイブームを振り返ろう」を見て読んでみようと購入。

イデア出しやネーミングだけではなく、「一人電通」と称するように自ら企画、営業、接待までこなしていることにも驚いた。職人のようにアイデア出しや執筆はできるが、営業はできない、またはその逆という人のほうが多い中でバランスよくどちらもこなすというのは長く仕事を続け、生き残っていくうえで本当に重要なスキルだと感じた。

柔軟にアイデアを出すことが苦手な私にとって、「ゆるキャラ」「いやげ物」などの実例をもとにアイデアの出し方や仕事の進め方が書かれていたのは、とてもわかりやすくて良かった。手の内を明かさないよう具体的なところをぼかした仕事術が書いてある本は多いが、実例を挙げて説明しているビジネス書って案外少ないので…。

特に、2章の3「広めることと伝わること」はアイデアを広めるにはどうしたらよいか、飲み会(接待)の重要性、できないことはチームを組んで進める、などフリーで仕事をしている人はもちろんのこと、サラリーマンにとっても重要な仕事術が書かれている。実は、どれも基本的なことではあるが、この基本ができていないために仕事がうまく進まないということも多いのではないだろうか。

また、3章の1「少年時代の「素養」が形になるまで」は非常に興味深い。小学生時代から始めたスクラップや高校時代の曲作りなど、現在の仕事の原点となるものが垣間見える。

考え方がワンパターンになってしまったり、良いアイデアが出なくて悩んでいる人がそこから抜け出すきっかけになる1冊になるのではないかと思う。