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翔んで埼玉/魔夜峰央

読書

1982年~83年にかけて3回「花とゆめ」別冊に連載され、2015年に宝島社より復刊された魔夜峰央先生の漫画である。インターネットやマツコ・デラックスの「月曜から夜ふかし」などの番組で紹介され話題となっていたためずっと気になっていたのだが、先日ついにブックオフで発見し購入。

表紙から「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」という刺激的な言葉。一応、「実在の人名団体名特に地名とは全く関係ありません」と言っているのだが、

「埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ!」

「埼玉狩り」

「サイタマラリヤ

などうわさ通りの埼玉ディスが延々と続く。

東京の名門校に転入してきた埼玉県出身の麻実麗。ある日、デパートで埼玉県出身の家政婦をかばったことで、麗も埼玉出身であることがばれてしまう。麗を慕う学園の自治会長・百美に別れを告げ、所沢へ戻った麗は、埼玉県民解放のための抵抗運動を始める。一方、百美は自宅を訪れた政治家の話から麗の身に危険が迫っていることを知る。麗に危険を知らせるため埼玉に向かい、都心にある自分のマンションにかくまうが…というのがあらすじである。

新聞は1週間遅れ、手紙は検閲され、食堂も東京都民と埼玉県民でメニューが分かれているという徹底した埼玉差別が行われている。都内にある埼玉県民居留地の「冷暖房完備」という住宅の「冷暖房」というのがただの窓という発想はなかなか衝撃的だった。

なんでも、この頃、編集長の勧めで魔夜先生が所沢に引っ越してきたのだが、その編集長と編集部長の自宅が実は近所にあり、ものすごいプレッシャーを感じていたそうだ。その中で生まれたこの作品はたった3話で終了している。横浜に引っ越してしまったためこのまま書き続けるとただの悪口になってしまうと感じてしまったそうだが、謎のキャラクター・埼玉デュークが気になるのでいつか続編をぜひ描いてほしいと思う。

他にも2本の短編と作者による作品紹介が入っている。インパクトではやはり表題作の「翔んで埼玉」が一番だが、タイムトラベル系SFの「時の流れに」も読みごたえのある短編であった。こっちは茨城を若干ディスっているのだが…。

本書の復刊に続き、パタリロの舞台化決定のニュースもあり、こちらも目が離せない。ぜひ観に行ってみたい。